画家・田中一村 と きんし丼

遅ればせながら台風一過のある日の記録。

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本日までですが、佐川美術館で「田中一村展」をやってます。
佐川美術館のお茶室は、自然の織りなす光と影と水、眺望に凝っていて、「楽焼き」の楽吉左衛門氏自らの設計。
素晴らしいのです。葦の原が点在する水庭に浮かぶように設計されている茶室が、水面と同じレベルにあるので、
小舟に浮いてる気分で時間を忘れます。
パパに見せたかったのに、有名になりすぎたらしく、行こうと思った日の近辺すべて予約埋まってました。残念。

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息子は東京で刀鍛冶の勉強中。ほんと、楽しそうな夏です。一村見せたかったけど。。。
なのでパパと。
この人は好き嫌いが激しいので(一番好きな画家はベラスケス、監督はキューブリック)、
なんて言うかおどおどですが(私、一番を決めないひと 汗)

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写真NGなので、こういう展示物しか写真がないんですが(汗)

日本の展覧会としては内容がかなり充実で、すごく良かったーっ!と久々に思えたので作品集を買いました。
ので、それをたどりながら感想をまとめてみます。

この展覧会、一村7歳の絵から始まるのですが、筋がいいと誰が見ても思うはず。

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そして13歳の時の絵です。
コオロギがいい感じ☆

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16歳、17歳から筆が突然自由自在な線に変わってきました。
それまでは、お手本通りの筆使いを意識していたのだなと思う固さがあったのですが、
いきなり解き放たれたのびのびした筆に変わっていて、衝撃的。
筆で思うように描きたいと常日頃思っている私。
10年頑張ればこんなのびのびした線になるのかなあと淡い夢を抱いちゃったりして。

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構図がどんどん大胆になっていく19歳。
一村展の青年期までの絵から彼の性格と成長が垣間見えて、ものすごく面白かったのでした。

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いきなり飛びますが30歳。
この絵「秋色」の色彩の美しさ端正さ、構図。一村の中で次の「白い花」と共に最も好きかも。

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その9年後に描いたのが、展覧会に入選した「白い花」という絵だそうな。
これ、綺麗でした!私は彼の構図センスが好き。
花のすがすがしさと一村の繊細な筆と共に、彼ののびのびした気持ちが合わさった感じの絵。

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「白い花」以降、展覧会の入選を目指しては一切入らず、
この年二点応募し、一村としては会心作だったこちら「秋晴」が落選し、もう一点が入選したことを怒って
入選作も取り下げて、以後画壇を目指す行為を捨てたそうな。

どう思いますか?
私やパパの意見としては、構図がかなり斬新で、そしてこの庶民的な大根干し風景。一村的挑戦だったのかなあと。
この時の審査員が川端龍子や東山魁夷などだったとかで。
幻想的な絵がウケていた時代に、農村のリアリズムというテーマが却下されたように思いましたがどうでしょう?

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軍鶏を描くのに、まず軍鶏を育てるプロを訪ね、卵を買い求め自分の庭で飼うこと、その数10羽・・・
この方、そうとうにマニアック!
でも、そんな解説を読んで、いいなー面白そうと密かに羨む自分を見ると共通するものがあるのか(汗)
色んな意味で、気持ちが手に取るようにわかるのが怖いというか面白い展覧会w
以後の絵は展示物にはなかったと思うのですが、描きたいことがわかりやすい絵なので載せます。

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一村の視点は、学者さんに通じるようでこれまた惹かれます。

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地面に這いつくばったり寝っ転がって花の視点や虫の視点で描いてる絵が多い。
それと、奄美大島に渡ってから「日本のゴーギャン」と名付けられたけれど、その前からこういう版画的?な
絵に変わっていた。
これを評価する人も多いので好きずきと思うけれど、私はここに行き着く前の葛藤しながら取り組んでいた
繊細な一村の絵が好き。。。

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そして奄美大島に来た彼は、薄暗く湿気多い森をこんな風に表現し・・・

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南画から始まった彼の長い絵描き人生で培われた、縦長をいかす画面構成センスがすごいなあと関心しきり。
ダチュラのインパクトなど素晴らしいと思うけれど、やはり私が好きなのは30歳の時の「秋色」。

好みは交錯し、画家は成長と共に絵を変化させていくが、必ずしも私の好みの方向ではないと共感できなくなる。
ミュージシャンにもよくそんな諸行無常さを感じるのですが、今回の一村もそうでした。
すごくオリジナリティーがあって、画家の性格的なものもムンムンしてる絵で、
幼少期から死の寸前までのこの展覧会は、苦難と才能と美意識せめぎ合った彼の一生を垣間見るというのが一番の面白さでした。
「まるごと一村」みたいな部分が見応えありました。
パパもそこは同じだったようで楽しんでたので、ほっ。


ところで、神戸から滋賀を目指すと途中で「蝉丸トンネル」というのがありました。
「蝉丸だって。武将の幼少期みたいな名前で格好いいなあ。くーまも蝉丸にすれば良かったかなあ」とパパw
あ、ほんとねwせみまる~って呼ぶのかわいいかも。でも中年になって自己紹介する時恥ずかしぃ~(苦笑)
その前に、幼少期も絶対いじめられそうだしww
ってか、蝉丸と言えば坊主めくりで苦しめられた思い出しかないんだけど。
などとアホ話しながら車を走らせた行きの道中。

美術館を出てランチで目指したのは、逢坂中腹のうなぎ屋さん。
「逢坂って、ここらへんたぶん関があったんだと思うよ?」とパパ。
逢坂って、あれ?「これやこの~行くも帰るも別れては?」
知るも知らぬも逢坂の・・・関だから、関あったんだねえ、うむ。
と検索したら、これを読んだのが蝉丸だったのですねえ。今さら結びついたりして(苦笑)
そうか、だから蝉丸トンネルか!

などと言ってる間に・・・

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こんな標識が見えてきた(爆)

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古くから有名らしい。
待合室?はなんだか懐かしい昭和のかほり。

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そこにあった、新聞記事の切り抜き。
ちょうどいいからこれで説明を端折りますwあしからずーっ。

で、

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どどーん!
卵焼きが、でかっ!
1人卵2個くらい。これだけでお腹いっぱいになります。
でも黄色くてでかいものは幸せになりますねえ♡
がしがし食べてなんだか満足いっぱい♪

楽しい遠足でした まる

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Commented by macchi73 at 2018-09-17 19:50
うわっ、良い休日ですね。
芸術、散策、おいしいものが勢ぞろい。命の洗濯だー。
かねよの写真、あるある、散策してこういうとこに出喰わすことある!っていう空気が感じられて……。
ちょっと休みとってぶらっとどっか行きたい気分に誘われてしまいました。
Commented by papricagigi at 2018-09-19 04:29
一村って知らなかった~。いいね、やっぱり本物を目にすると刺激を受けるよね! それにしてもすごい構図。ばしっとこういう風に切り取れる潔さがかっこいい。私もこの秋色のが好き!名もない草花・茂みの秋の色って大好きだけれど、その混じり合った様子をとらえるのって写真でさえ難しいよ。一村、すごいー!色、濃淡とテクスチャ、ツルの絡みや余白の残し方、全てがかっこいい。

最後のこの卵焼きとうなぎ… めっちゃ美味しそう… はんぶんこしよー♡
Commented by africaj at 2018-09-20 11:09
> macchi73さん

この日は爽やかな日だったから秋満喫~って楽しい一日でしたよ。
さすがmacchiさん、散歩の達人にはわかってもらえますね。この嬉しさw
秋は着々と近づいてますもんね。ぶらっと空に誘われます。
Commented by africaj at 2018-09-20 11:16
> papricagigiさん

この方ね、幼い頃から天才と言われ、本人も絵が好きな上上手だと自覚があって精進もした分、
プライドも高く目指すところもしっかり見えてるのに、結局無名のまま貧乏で絵を描き続けたの。
構図、すごいよね!アピールする場に恵まれないと才能が埋もれる時代だったんだね。
今みたいにインターネットがあったら、ずいぶん違っただろうなと思って悲しかったわ。

半分こしたかったよー。だって、この卵焼き絶対二人前っ!(笑)
by africaj | 2018-09-17 12:32 | 本と映画と美術展と演劇と | Comments(4)

都会のはじっこ、山のはじまりの手作りな暮らし。畑のこと、日々のパンとお料理、発酵の実験、パパの狩り、子育てを綴ります。


by africaj