モデナ・バルサミコ博物館にて。

先日から日本の富士酢さんの酢の作り方を学んでいて、
日本の伝統的な米酢は、葡萄を元にするバルサミコ酢のように何十年何百年と熟成させて
濃厚なものを作り出すことはできるのかどうか。
醗酵と熟成で作り出されるお酢の世界を知れば知るほど、知りたいことも増えてきてる私です。

さて、モデナには小さいけれどなんだかすごい「バルサミコ博物館」がありました。

バルサミコ酢がいつからあるのかというと、
現在のような美味しいものではないけれど、その原型はすでに古代ローマ時代の2000年前から。
紀元前70年に生まれた詩人ヴェルギリウスが古代バルサミコ酢についてを歌っているのだとか。

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昔の、葡萄を収穫して汁を絞り、煮つめて、瓶に入れて・・・の道具たちが飾ってあります。
葡萄は白の3種類
え!?って思うでしょう?あの漆黒の色は赤いぶどうだとばかり思っていた私。
香りのスパニッシュトレビアーノ、甘みのランチェロッタ、酸味のランブルスコで味に奥行きを出す。

完熟することが大事で、
それを収穫して絞り→翌日、銅の大鍋(今はステンレス)で12~14時間強火直火で蓋せず煮つめる。
90度~95度(今はこの温度は高すぎると見直されて、表面が波立つ程度で煮つめていくそうな)で
どんどん蒸発させてアクを取りながら煮つめていくと、色がどんどん赤黒くなっていく。
一番右端は「ダミジェーロ」という壷で、熱いうちにこの中に入れる。
(↑うーん、煮つめたものを入れるには壷が小さすぎる気がするのでタミジェーロ自信なし(汗)
早く書かないと記憶があやふやになるから困りもの。後で確認取っておきます。あしからず)

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バルサミコ酢の最も大事な部分が、発酵熟成をさせる樽。
真ん中の切り株がGinepro(西洋ジュニパーベリー)。実はGINの香り付けに使うのですが、材木も
相当に個性的な香り。これで作る樽でお酢を寝かせたら、絶対個性的な香りと味になりそうって木です。
残り6種類はオーク、桑、桜、アカシア、トネリコ、栗。
桜はakane家の記事で書いたけれど、お酢がチェリーの香りになってました。
栗材はタンニンが多くて苦味が出るんですって。

こんな風にそれぞれの木が違う味と香りを出すので、どの樽に熟成し、何回移し替えるかで
まるで表情の違うバルサミコ酢が出来上がってくるのが、頷けますよねー。

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バルサミコ酢博物館の樽が置かれている部屋。
夏は暑く、冬は寒くなくては美味しいお酢にならないとのことで、一番温度差のある屋根裏部屋です。
それぞれ、木の種類は最低でも2種類使った、5~6個の樽で一セットのバルサミコ酢。
こんな風にわかりやすく並べてありました。

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八丁味噌かと思った(苦笑)
これは、寝かせている間毎年下に沈む「澱(おり)」なので、一年に一度取り除くそうな。

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これは酒石酸の結晶。
こちらも、樽の中に出来てくるものなのできちんと取り除いていきます。

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これは1785年に瓶詰めという形では現存最古のバルサミコ酢。
中身も入っていて、ちゃんと劣化のないバルサミコ酢だったとか。
ボトルと共にこの時代のレシピも残っていたそうで、今のバルサミコ酢と比べるとあまり寝かさず軽いのだとか。

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この書簡は、1875年にピオ・ファブリアーノさんが、
どうやってバルサミコ酢を作るか、文献で残したいと役人に頼んでいる手紙だとか。

そう。今のバルサミコ酢を築いた、モデナを統括していたエステンセ王が
イタリア統一戦争で負けてオーストラリアに亡命し、王の右腕であるakane家も一緒に亡命し、
第一次大戦後に戻ってきたってことは、その間に伝統が衰退してもおかしくないものね。

歴史の間に消えるものも多い中、今に引き継がれた数少ない伝統は、こういう責任感のある人のおかげなのでしょうね。
ファブリアーノさんの書簡が、今のバルサミコ酢の製法の基軸になっているそうな。
この博物館にも、ファブリアーノ家族が持っていた樽や色々なものが飾られていました。


ま、言うなれば私もblogでせっせとマニアックな実験と発見とレシピを書いているのも
ファブリアーノさんと同じ気持ち(←同じにすんな!と言われそう 汗 すみません)
でもほら、モグサをヨモギから作るって知ってる人いなくなってきたわけで。知の伝承ですよw

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この博物館で売られている「本物」のバルサミコ酢。
赤色が、12年~25年以下の樽から春に取り分けられたもの。
金色が、25年以上樽で寝かせたもの。

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左が25年以下のもの。
右が25年以上熟成したもの。とろりとした粘度の違いがよくわかります。

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最後の部屋では、この2つをテースティングさせてくれます。
25年以下のものも、もちろん美味しいけれどまだ酸味を舌に感じます。
25年以上のものは、もう円熟して全てが溶け合い無数の味と旨味が仲良く共存している味。

akaneさんはバルサミコ酢鑑定士なので、バルサミコの感じ方について詳しく教わりましたよー。
まずは色。目で色を楽しむ。光沢あるクロっぽい焦げ茶でなくてはならない。
次に香り。素直さかっ達さ、そして黒糖の風味を感じるのだと。対して新しいものは攻撃的な香りなのだとか。
素晴らしいバルサミコ酢は、手の甲に一滴伸ばすとなんとも美味しそうでずっと嗅いでいたい香りがするのですよー。
そして味は、芳香と優雅に調和されたもの。

・・・って、わからないですよねー(汗)
私なりの解釈としては、酸度が同じでも酸が前に出てくるものは他の味を消してしまう。
旨味が少ないものも、酸味が尖って感じてしまう。
色んな旨味で酸味がオブラートに包まれたようなものが素晴らしい・・・そんな感じに思えました。


さて、
25年以下が100mlで9000円くらい、25年以上が100mlで12000円くらいです。
ここでしか売っていませんと言われても・・・高すぎ(汗)

これがバルサミコ酢の大きな問題なのでしょうね。
これほどに手がかかっていることも理解するけれど、これでは大金持ちしか手が出ないでしょうに(涙)

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バルサミコ酢博物館、面白かった!!

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モデナに行ったら是非訪れてみて欲しいところですよ~♪


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ちなみに、私はakaneブランドの9年ものバルサミコ酢を購入してきました。
15Lの樽からほんの1割だけ売り物にし、あとは残して熟成させる・・・ことを繰り返すので
こうしてボトリングできるのはほんの僅かなのだとか。最後の一本でした(嬉)

本物のバルサミコ酢を守るのは、「趣味」と割り切らないと続けていけない世界なのですって。
中世は領主だったakane家なので、小作人が全部やってくれていた仕事を、
今はakaneさんがやっているから忙しい!と言っていました。時代が代わったってこういうことなのですね。
それでも守り続けていくのは、偏に愛だとしか言いようがない。
私はしかし、この9年もののバルサミコ酢が十分美味しい(手が届くお値段だし)ので、
これをコンスタントに買えたらいいなあと密かに思うのでした。


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Commented by syun368 at 2018-07-22 01:30
モデナのバルサミコですね〜
今回はafricaさんのおかげでバルサミコのお勉強をさせていただきました。
貴重なティスティングも…

あの日は2日続けて舌が鍛えられましたね(^^)
Commented by africaj at 2018-07-28 14:20
> syun368さん

お返事遅くなってしまいました。
広島ではお世話になりました!
お酢について真剣に考えた2日間、楽しかった~♪
ありがとうございます(ぺこり)
by africaj | 2018-07-21 16:42 | おでかけスペイン+イタリア・2018 | Comments(2)